法人を設立したら最初にすべき税務上の手続きは?
それは税務署に設立届を提出することです。
ただ、提出する書類は設立届だけではありません。
状況に応じて複数の書類を提出する必要があります。
今回はこの設立届関係を説明します。
税務署に提出すべき書類は全部で5つあります。
他にも任意で提出する書類がありますが、今回はすべての法人が提出するであろう5つの書類を説明します。
法人設立届書
文字どおり、法人を設立しましたよ!ということを税務署にお知らせする書類になります。
設立の日から2か月以内に所轄税務署に提出する必要があります。
税務署に提出する際は定款も添付書類として必要になりますので、お忘れなく。
青色申告の承認申請書
青色申告の承認申請書を提出することにより、様々な特典を受けることができます。
法人であればほとんどの会社が提出している書類になります。
稀に見かけますが、提出していない会社は提出を忘れているのですかね。。。?
青色申告承認申請書の提出期限は、設立の日から3か月以内になります。
設立届と一緒に提出すれば問題ないでしょう!
この書類の提出を忘れてしまうと、様々な特典が受けられなくなります。
提出するかしないかだけで大きく変わるので、必ず提出するようにしましょう!
給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書は、お給料を支払うのであれば、提出してくださいという書類になります。
1年目は社長1人で、役員報酬も支給しないという会社もあるかもしれませんが、提出漏れにならないように、設立届と一緒に提出しておくのが無難だと思います。
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書を提出することにより、納付すべき源泉所得税をまとめて納付することができるようになります。
そもそも源泉所得税とは?ですが、
例えば、お給料から天引きされている税金の中にも源泉所得税があります。
お給料の額面が50万円だとして、丸々50万円はもらえていないですよね?
お給料から社会保険料や源泉所得税、住民税が引かれています。
この源泉所得税部分を会社が変わりに国に納めています。
この源泉所得税ですが、原則は、天引きした月の翌月10日までに納付しなければなりません。
ただ、設立したばかりで規模が小さい会社ですと、毎月納付するのは手間もかかり大変ですよね?
そのため給与の支払を受ける人数が、常時10人未満の会社であれば、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書を提出すれば、毎月納付をせずに、まとめて納付することができるようになります。
この書類を提出することにより、納付期限は下記になります。
1~6月分の源泉所得税は7月10日までに納付
7~12月分の源泉所得税は1月20日までに納付
半年ごとに納付するイメージになります。
この書類について1点だけ注意点があります!
この書類は、提出した月の翌月末日に承認があったものとされ、申請の翌々月の納付分から特例の適用を受けることになります。
少しわかりにくい説明になってしまいましたが、下記具体例を見ていただければ、わかりやすいかと思います。
申請書を提出した月が2月中の場合
2月支払いの給料から天引きした源泉所得税→3月10日までに納付(原則)
3月~6月支払いの給料から天引きした源泉所得税→7月10日までに納付(特例)
初回のみ注意しましょうということになります。
常時10人未満の会社であれば、ほとんどの会社が提出している書類になりますので、この書類も忘れずに提出しましょう!
適格請求書発行事業者の登録申請書
令和5年10月1日よりインボイス制度が始まりました。
(インボイス制度の詳細は別の記事に記載したいと思います。)
インボイス制度が始まったことにより、適格請求書(インボイス)を発行するためには、登録をしなければなりません。
その登録のための書類が、適格請求書発行事業者の登録申請書になります。
消費税法が絡んでくるので、ややこしい制度ですが、設立したばかりの会社は基本的には消費税の免税事業者に該当するかと思います。
上記の会社が適格請求書発行事業者の登録申請書を提出すれば、設立日から適格請求書発行事業者になることができ、適格請求書を発行することができるようになります。
たまに勘違いをされている方がいらっしゃいますが、消費税の免税事業者の方であっても、適格請求書発行事業者の登録をすると消費税の納税義務も発生しますので、登録するかどうかはしっかりとご検討ください。
まとめ
上記5つの書類が設立したら税務署に提出すべき書類になります。
(適格請求書発行事業者の登録申請書は検討が必要)
上記書類の中には、提出が遅れてもそこまで被害がない書類もございますが、提出を忘れれば大きな被害が出る書類もあります。
そのため、設立したら上記5つの書類はまとめて税務署に提出しましょう!
補足
実は、税務署以外にも設立届を提出しなければいけない所があります。
それは、都道府県と市です。(東京都23区の場合は都のみ)
例えばですが、神奈川県横浜市戸塚区で法人を設立した場合は設立届を「戸塚県税事務所」と「横浜市」に提出する必要があります。
神奈川県と横浜市の提出期限は、税務署と同様に設立の日から2か月以内になります。
*都道府県や市によって、提出期限が異なりますので、ご注意ください。
また、添付書類として定款と登記簿謄本が必要になります。
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髙野正義税理士事務所
神奈川県横浜市戸塚区南舞岡3-8-1-2
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