課税事業者選択届出書を提出している場合の2割特例

こんにちは!

税理士の髙野です。

今回は、インボイス制度に関連して話題となっている

「2割特例の適用と課税事業者選択届出書の関係」について解説します。

目次

課税事業者選択届出書とは?

「課税事業者選択届出書」とは、

本来、消費税の免税事業者である事業者が、

自らの意思で課税事業者になるために提出する届出書です。

「わざわざ課税事業者になる意味あるの?」と思われるかもしれませんが、

実際には、消費税の還付申告(大きな設備投資など)をしたい場合に提出されるケースがあります。

2割特例との関係

本題の「2割特例」の適用についてです。

次のようなケースでは、2割特例の適用ができません。

「課税事業者選択届出書」を提出している

かつ「調整対象固定資産の仕入れ等」を行っている

調整対象固定資産とは?

簡単に言えば、1つ100万円以上の固定資産(機械・設備・車両など)です。

「調整対象固定資産」とは、棚卸資産以外の資産で、建物およびその附属設備、構築物、機械および装置、船舶、航空機、車両および運搬具、工具、器具および備品、鉱業権その他の資産で一の取引単位の価額(消費税および地方消費税に相当する額を除いた価額)が100万円以上のものをいいます。

国税庁 NO.6501 納税義務の免除

この調整対象固定資産の仕入れ等を行うと、

仕入れ等をした期間の初日から3年を経過する日までの期間は、

2割特例を適用することができません。

例えば、免税事業者だった個人事業者が令和6年1月1日にインボイス発行事業者として登録を受け、令和6年中に、一般課税で調整対象固定資産の仕入れ等を行ったとする。登録の際に「登録申請書」のみを提出した場合は、令和7年分において2割特例を適用できる。他方で、「課税事業者選択届出書」及び「登録申請書」を提出した場合には、令和7年分において一般課税が強制されるため、2割特例を適用できない。

税務通信3879号 調整対象固定資産と2割特例

まとめ

「課税事業者選択届出書」を提出していない場合は、特に気にする必要はありません。

しかし、提出している場合には、2割特例の適用に制限が出る可能性があるため、注意が必要です。

本記事は一般的な内容をご紹介したものです。
実際の運用につきましては、税理士にご相談いただくことをおすすめします。

髙野正義税理士事務所
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